🐶 尾を振る=うれしい?
- KAORU ITO

- 8月8日
- 読了時間: 3分
更新日:8月10日
犬の気持ちを見抜く力、ありますか?

「犬が尻尾を振っているから、喜んでいるんだね!」
――そんなふうに思ったこと、ありませんか?
実はそれ、必ずしも正解ではありません。
ある研究では、犬とよく接している「経験者」も、犬にあまり触れてこなかった「非経験者」も、犬の行動の正確な理解には苦労していることがわかりました。
2009年に発表された研究(Tami & Gallagher)は、「犬と多く関わってきた人」と「そうでない人」が、犬の感情をどのように読み取っているかを比較しました。結果は意外なものでした。
📖 研究のポイント
2009年に発表された研究(Tami & Gallagher)は、9つの犬の行動シーンをビデオで見せ、参加者に「この犬はどんな気持ち?」と答えてもらいました。
その結果――
経験者も「必ずしも」正しく判断できるとは限らない
非経験者は「尻尾を振っていれば友好的」と誤解しがち
「耳の向き」「体の姿勢」「目線」など複数の要素を見る必要がある
📖 経験より大切なのは「キュー」を理解しているかどうか
犬に慣れている人でも、犬の感情や意図を正確に読み取れるとは限らない――この研究はそんな事実を明らかにしました。
それは、犬の「行動キュー(しぐさや姿勢などのサイン)」を正しく理解しているかどうかが、大きく影響していることが示されたからです。
犬のボディランゲージはとても繊細です。たとえば…
耳が後ろに倒れている → 怖がっているかも
体が固まっている → 緊張している可能性大
視線をそらす → 対立を避けたいサイン
尾を振っていても体が前傾している → 実は威嚇の直前かも…
ひとつの動作だけで判断せず、複数のサインを組み合わせて見てあげることが大切です。
おまけ
この研究で犬の行動を判断する手がかりとして使われていた「行動キュー」を表にまとめてみました。
行動キュー | 意味の一例 |
耳の位置 | 後ろに引いている→怯え・不安 |
尾の高さと振り方 | 高く速く振る→興奮 or 優位性(友好とは限らない) |
体の姿勢 | 身を低くする→服従や恐怖 |
目線 | じっと見つめる→威嚇、視線をそらす→非対立的 |
動作の硬さ | 動きが止まる・固まる→警戒・不安のサイン |
口の形 | 口角が下がる・歯を見せる→緊張・敵意 |
これらのキューをバラバラに見るのではなく、文脈と組み合わせて総合的に判断するのが重要です。
キューの分類:行動キューとホリスティックなキュー
Tami&Gallagher(2009)研究では提供されていませんが、関連する文献によれば、以下のようなキューの分類もあるようです。
行動的キュー(Behavioral cues):耳の位置、尾の動き、体勢、視線など、観察可能な具体的動作。例:「尾を振っている」「耳が後ろに倒れている」など
ホリスティックなキュー(Holistic cues):観察者が犬の”感情”や”意図”を汲み取って捉えた全体的な印象。例:「遊びたい様子」「威厳をもっている」「友好的に感じた」など
Tami&Gallagher(2009)研究では、行動的な観察だけでなく、「この犬は何をしたいと思っているのか」というようなホリスティックな観察も見られていました。
🎓 セミナーで一緒に学びませんか?

この夏開催の【現場で役に立つ!飼い主対応スキルを高める実践セミナー】では、行動診療の専門家とドッグトレーナーが、犬の行動サインの読み取り方や、飼い主との信頼関係の築き方について実践的にお伝えします。
「犬の気持ち、ちゃんと伝わってるかな?」「飼い主さんにどう説明したらいいんだろう…」
そんなお悩みを持つすべての専門職の方に、ぜひご参加いただきたい内容です。
詳しくはこちらから↓




コメント