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「動物たちが語らない戦争」ー終戦記念日に思う、非暴力と平和ー

秋山ちえこさんが伝え続けた動物たちの戦争



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8月15日 終戦記念日。

この日になると、必ず思い出す情景があります。


子どものころ、夏休みの宿題に取り組んでいた私。机の上には絵日記や算数ドリルが広がり、ラジオが静かに流れていました。すると、そのスピーカーから澄んだ声が聞こえてきたのです。評論家の秋山ちえこさんでした。


秋山さんは毎年この日に、『かわいそうなぞう』(土家由岐雄 作)を朗読していました。これは、戦時中に実際にあった出来事を童話化した作品で、上野動物園で飼育されていた3頭のゾウの「最後の姿」を描いています。子ども心にも、秋山さんの朗読には「絶対に戦争をしてはいけない」という静かで強いメッセージが込められていることが分かりました。その声を聴いていると、胸が締めつけられるような感覚に包まれ、宿題どころではありませんでした。

秋山ちえこさんが伝えたこと


秋山さんは1967年から長年にわたり、終戦の日の放送でこの物語を紹介し続けました。朗読は淡々としていながらも、深い祈りが込められており、聴く者に強い印象を残しました。


「この日には必ず伝える」という姿勢を崩さず、動物たちの物語を通して平和の大切さを訴え続けたのです。

戦争に巻き込まれた動物たち


ゾウたちの悲劇は特別な例ではありません。

戦時中、日本でも海外でも、多くの動物が軍事目的で動員されていました。

軍用犬は伝令、地雷探知、負傷兵の救助を担い、馬やラクダは物資輸送に従事し、伝書鳩は重要な通信手段として命を懸けました。

彼らは拒むこともできず、人間が決定した戦争に巻き込まれていったのです。

記録が伝えるもの


こうした歴史を知ることができる書籍は、戦争を語る上で欠かせない資料です。

  • 『犬たちも戦争にいった』(森田敏彦著)

  • 『動物たちがみた戦争』(渡邉英徳ほか)

  • 『War Animals』(Robin Hutton著)

これらは、戦争が人間だけの問題ではないことを教えてくれます。

今だからこそ


あの日、ラジオから流れてきた秋山ちえこさんの朗読は、子どもの私にとって初めて「戦争」というものを深く感じさせる時間でした。


終戦から80年となる2025年夏。『かわいそうなぞう』は、今もTBSラジオで放送が続いているそうです。

2012年の放送音源がYouTubeで公開されています。→YouTube

ぜひ聞いてみてください。



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