犬とのふれあいには犬のことも考えてあげてというお話

更新日:1月23日

動物介在活動(AAA)という言葉を聞いたことある方も多いと思います。

動物介在活動は、動物介在介入AAI: Animal Assisted Intervention) の1つで、動物とともに、高齢者福祉施設や教育施設への訪問などを行う活動です。

IAHAIO(人と動物の関係に関する国際組織)によれば、動物介在介入(AAI)は、目的や実施方法によって4つに分類されるそうです。

  1. 動物介在活動(AAA:Animal Assisted Activity):

  2. 動物介在療法(AAT:Animal Assisted Therapy):治療目的のため医師の関与が必須

  3. 動物介在教育(AAE:Animal Assisted Education):

  4. 動物介在コーチング(AAC: Animal Assisted Coaching)

AAIに参加する動物への配慮は、IAHAIOのガイドラインで「動物へ悪影響を及ぼさないように予防的措置・配慮をすること」と記載がされています。

今回は、動物介在活動(AAA)の参加者と参加動物(犬)に関する研究をご紹介します。



方法:

AAA参加者:大学構内の学生相談室の利用者(発達障害、精神疾患、不登校などのメンタルヘルスに困難を抱えている学生)40名(1回セッションは約10名)。

AAA参加犬:8頭の家庭犬(1回のセッションは2頭)。

セッション前に犬の行動評価を行い、社会性の高い犬、中程度の犬、低い犬に分類。

1回のセッション時間で犬とふれあう時間は約30分。参加者は床の上に着座、犬は自由にさせて、参加者は着座のまま犬とふれあった(犬が自主的に接近したら参加者と触れ合うという感じ)。

その状態を撮影して、参加犬の行動学的評価と臨床心理学的評価を後ほど行った。内分泌学的評価として、唾液中のコルチゾル(ストレスがあると高くなる)オキシトシン(心地よい刺激に触れたりすると高くなる)も測定した。


結果:参加後に参加者から普段よりも「自発的な発言の増加」「ポジティブな表現への変化」「場への配慮行動の表出」「拒否していた体験を楽しむ」といった向社会的な行動上の変化がみられた唾液中のコルチゾル濃度は、参加者と犬ともに参加前後で有意な低下が認められた。社会性の低い犬ほどAAA参加前後の変化が大きかった。一方で、オキシトシン濃度については、参加者と犬とともに有意な変化は見られなかった。


研究者は、犬はリードをつけず自由な状態でAAAを行ったことにより犬のストレスが少なかったのではないかと述べています。AATの訓練を積んだ犬でも、リードを付けた状態だと付けない状態よりもコルチゾル濃度が上昇するということが別の研究で示されているそうです(Glenk,2013)。さらに、この研究では、社会性の低い犬も使っていることもあり、犬の行動にはかなり配慮してセッションを行ったと言っています。

研究者らは、AAIは、参加者や参加犬の双方に利益があるものの、保護犬を教育してAAIに活用するとよいのではないか、という提言に対しては、かなりの配慮が求められると考察で述べています。


動物との触れ合いは人を和ませてくれます。アニマルセラピーは人の身体的・心理的に効果があると言われています。しかし、動物は人の想像よりもストレスを感じているかもしれません。AAAを行う場合には、専門家とともに参加する動物のストレスサインを日ごろから観察して、無理強いはしないよう努めるとこも大切ですね。


参考資料:

International Association of Human-Animal Interaction Organization (IAHAIO). 2018. The IAHAIO definitions for animal assisted intervention and guidelines for wellness of animals involved in AAI. IAHAIO WHITE PAPER 2014, updated for 2018.

https://iahaio.org/wp/wp-content/uploads/2018/04/iahaio_wp_updated-2018-final.pdf


岩田惠理,澤田明子. イヌの自主性に配慮した動物介在活動とその評価. 動物の行動と管理学会誌.55 巻(2019)4号 https://doi.org/10.20652/jabm.55.4_154


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