重症化を防ぐために,私たちは何をしたら...
昨年末から,なんだかいろいろ気忙しくなってしまって,気づくと前回のブログから2ヶ月以上も間が空いてしまっていました.
みなさま,今日も愛犬と仲良く暮らしていますか?
私は,忙しさを理由にあいつらとの時間がやや短くなってしまっていると反省しています.
昨年の今頃,「悪天候時の散歩は犬だけでなく人にも良い効果をもたらす」という🇬🇧イギリスの研究をご紹介しておきながら,ダメですね.
それは,天候が悪い日でも犬を散歩させる習慣のある人は,そうでない人よりも身体活動量が多いと言うお話でした.
身体的な活動量を増やすことは,「肥満,高血圧,脂質異常症,糖尿病などを予防できる→動脈硬化※を予防できる→脳卒中・心筋梗塞や心臓突然死などの循環器疾患を予防できる」とたくさんの研究で証明されています.
厚生労働省が実施している「患者調査(2020年)」によれば,心疾患の総患者数は200万人を超えダントツの1位を占めています.人医療の話です.
※動脈硬化(動脈の血管が硬くなった状態.そうなると,血管に血栓ができやすくなり血管が詰まりやすくなる)
犬ではどうかと調べてみると,動物病院のカルテデータをもとに分析した研究を見つけました.それによると犬の死亡原因は腫瘍(がん)が18.4%と最も多く,次いで多いのが心疾患で17.4%,続いてが泌尿器疾患で15.2%.チワワ,シーズー,ミニチュア・シュナウザーは循環器系の疾患で亡くなりやすいということでした.
心疾患は,心臓から血液を送り出すポンプとしての働きがちゃんとできなくなることで,症状が出てくるにようになります.
多くの場合,高血圧の状態になりますが,犬の高血圧っていったいどんな状態なのでしょう?人であれば,血圧計で測ったりできますが,犬はいったいどうすれば...
通常,塩分などの味のついたものは(きっと)与えていないはずなので,高血圧にはならないのかなっと思ったり,でも,死亡原因の2位が心疾患だと知れば,きっとなんか兆候があったのかもと思ったり,といろいろ考えてしまいます.
血圧は,受診や測定によるストレスや不安に影響を受けることがあります.「白衣高血圧」って聞いたことあるかもしれません.白衣をみると緊張して血圧が上がるという状態です.
犬や猫でも一緒だと,さくら動物病院院長の平林先生もおっしゃっていました.
犬の血圧正常値って?血圧ってどうやって測るの?病院の検査って??
犬の加齢と共に,血圧が上昇するという報告もありますし,日頃から常識として知っていたいと思った次第です.
どう犬の心疾患を予防するか,どう心疾患の動物と向き合うか,一緒に考えて行きませんか!
第3回のPD-TENカンファレンスでは,獣医循環器認定医とCCRP(犬のリハビリテーション)の資格をお持ちの平林弘行先生(さくら動物病院院長)をお招きし,犬の心疾患と実際に病院で行っている検査方法について,動画や写真とともにご紹介いただく予定です.
ワークショップでは,犬ができるだけストレスのない状態で検査を受けられるよう,トレーニング方法を学びます.
重篤な心疾患を持ちながら,問題行動を治さなければいけない犬もいます.興奮させると身体的な負担がかかるし,ストレス発散でお散歩させてあげたいけど,獣医さんはダメだと言うし...などなど
疑問は尽きません.
一人では解決できないことがいっぱいです.
先日の先生方との打ち合わせでは,私はへぇへぇの連続でした.
確かなことは専門家に聞こう!
ちゃんとした情報,科学的な情報を提供する場として,PD-TENはあります.
私たちと一緒に,一歩抜き出た専門家を目指してみませんか!
4月14日横須賀でお待ちしてます!
参考資料:井上舞,杉浦勝明.動物病院カルテデータをもとにした日本の犬と猫の寿命と死亡原因分析,日本獣医師会雑誌/75巻(2022)6号
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