ウインター・ブルーという言葉をご存じでしょうか?
(もう3月なのにすみません)
冬の間、気分が落ち込むとかやる気が起きない、楽しみだったことにさえ興味がわかない…それは、「季節性常同障害」とか「季節性感情障害」といわれるものかもしれません。いわゆる、冬季うつ(ウインター・ブルー)です。
女性や若い人に比較的多いとされ、日本人を対象にした調査では、2.1%に疑いがあるそうです。
なぜ冬季うつになるのか?それには、日照時間が大きく影響しています。健常人を対象に1年間のセロトニンの分泌量を調査したLambertらの研究によれば、最も多く分泌していたのは、夏で、最も少ないのは冬だったという報告があります。
日照時間が短くなると、体内時計をつかさどるメラトニン分泌が遅れて、脳内の神経伝達物質のセロトニンやドーパミンが減少し、うつ状態を引き起こしやすくなります。こうしたことが、ウインター・ブルーに陥りやすいと考えられています。きっと、それは犬も同じに違いありません。
ウインター・ブルーを防ぐには、①積極的に自然光を浴びる、②規則正しい生活をする、③トリプトファンを多く含む食事を摂る(カツオ、マグロ、乳製品など)④有酸素運動を取り入れるが効果的です。
セロトニンは、必須アミノ酸の一種「トリプトファン」から合成される神経伝達物質です。他の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンなどをコントロールして、精神を安定させる働きがあります。しかも、メラトニン(別名、睡眠ホルモン)はセロトニンを材料に合成されるホルモンです。
春が近づき、徐々に日も長くなってきました。
朝日を浴びながら、愛犬とお散歩すると
犬も人もセロトニン分泌がいい感じになる→腸内環境もよくなる→メラトニンがでるので夜よく眠れる
いいことずくめです!
なんて脳内物質のことも、PD-TENでは取り上げたいと思っています。一緒に勉強しませんか?
参考資料:
Cools O, Hebbrecht K, Coppens V, et al. Pharmacotherapy and nutritional supplements for seasonal affective disorders: a systematic review. Expert Opin Pharmacother (11): 1221–1233;2018
三島和夫(2016)『臨床精神医学』第45巻増刊号,p.178-180,アークメディア
Lambert, et al. Lancet 2002
三島和夫.https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150107/430923/?P=4
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