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パピートレーニングは頑張って生後6ヶ月までには受けた方がいいらしいの巻

更新日:2022年8月14日

AVSABは、生後3ヶ月までに受けることを推奨

米国医獣動物行動学会(American Veterinary Society of Animal Behavior:AVSAB)の見解によると、子犬の社会化は生後7週間または8週間で開始し、生後3ヶ月より前に確立されたトレーニングクラスを開始する必要があるとのことです1。都市に住んでいる犬で生後7週間から16週間の間にトレーニングを受けていない犬は、成犬になると怖がる可能性が高くなるとの研究もあります2。みなさんも生後4ヶ月くらいまでにパピートレーニングに参加することは、とても重要だということはご存知かと思います。パピーのトレーニングのタイミングの理論的根拠は、犬の学習の敏感な時期と一致するためと考えられています。


実際には(特に日本では)、パピートレーニングを提供している動物病院等は少ないですし、生後4週間までにパピートレーニングを経験できる犬はとても少ないのではないでしょうか。せめて、生後6ヶ月くらいまでだったら…

そこで、今回は、生後3ヶ月後に行ったトレーニングがその後の犬の行動に与える行動について調査した研究をご紹介します。


米国タフツ大学のDinwoodie先生の研究チームによって行われた研究です3。調査はインターネットによるアンケート方式で行われました。アンケートへのリンクをSNS (Twitter, Instagram and Facebook)に公開してデータを収集しました。そのあたりは今時の手法です。

アンケートは①思春期前の訓練に関する質問、②問題行動に関する質問の二部構成で、質問項目も多くかなり細かく聞いてます。


最終的に、641人の犬の飼い主から1023頭の犬に関する情報が収集できました。犬の約半数 (48%) が子犬のトレーニングに参加し、残り (52%) は参加してませんでした。研究では、トレーニング受けた群とトレーニング受けない群で結果を分析してます。


結果、生後6ヶ月以下でトレーニングに参加すると、攻撃的な行動を起こす確率は0.71、脅迫的な行動を起こす確率は0.64、破壊的な行動は0.60、過剰な吠えは0.68、家の汚れは1.56でした。1より小さい確率は、トレーニングを受けてない犬よりも発現率が低いことを示しますので、家の汚れ以外は良い結果と言えます。

この研究を通して、トレーニングを開始した年齢(生後6ヶ月前)、トレーニングの頻度やトレーニング機器は、結果に有意な影響を及ぼしてなかったということですが、正の強化によるトレーニングは、攻撃的な行動を起こす可能性と関連していたということが示されました。

補助的な結果として、生後12週齢以下で捕獲された犬は(親元から離れたという意味だと思います)、恐怖や不安、破壊的な行動を示す確率が低くなり、オス犬は攻撃的な行動、強迫的な行動、マウンティングを示す確率も低くなったということです。


この研究から、パピートレーニングは生後3ヶ月を超えてもしないよりはしたほうがよいが、正の強化による犬のモチベーションを高めたトレーニング内容でなくてはならない、ということがわかると思います。


動物愛護法改正により8週齢に満たない子犬や子猫の販売禁止となりました。しかし、米国医獣動物行動学会や本研究のように、生後3ヶ月まで、頑張って生後6ヶ月までにパピートレーニングを受けた方がいいということがわかっています。8週齢(生後2ヶ月)で本当にいいのでしょうか。パピートレーニングに間に合うのでしょうか。


なんだかモヤモヤしてきます。


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ちゃんとした人たちと楽しく深くアニマル・ウェルフェアについて考えてみませんか。


  1. Jenni, P.; Hakanen, E.; Salonen, M.K.; Salla, M.; Sini, S.; César, A.; Hannes, L. Inadequate socialisation, inactivity, and urban livingenvironment are associated with social fearfulness in pet dogs.Sci. Rep.2020,10, 3527

  2. Ian R Dinwoodie, Vivian Zottola, Nicholas H Dodman. An Investigation into the Impact of Pre-Adolescent Training on Canine Behavior. Animals (Basel). 2021 Apr 30;11(5):1298. doi: 10.3390/ani11051298.


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