QOLという言葉を聞いたことがあると思います。
Quality of life (生活・生命の質)」の略です。
QOLは、生活や人生が豊かであるという考えですが、「豊か」とは、物質や経済的なことだけでなく、その人の生きがいや自己実現など、精神的な満足度に重きが置かれます。
私はサラリーマン時代に、医療のQOLの研究に関わってきました。医療のQOLは、あなたや家族が病気になったり、年齢を重ねて身体能力が低下したりして、これまでと同じような生活が送れなくなったときに、いかに今の生活の質を保ち、または向上させるように環境をどう整えていくかを考えていく中で、最も重要な概念となります。
1948年の世界保健機関憲章(WHO)で「単に病気や病弱な状態ではないというだけでなく、肉体的、精神的および社会的にもすべて良好な状態である」と定められました。
対象者のQOLを評価するには「QOL尺度」というものを使います。代表的な尺度として、SF-36 というものがあります。8つの健康概念「身体機能」「日常役割機能」「体の痛み」「全体的健康感」「活力」「社会生活機能」「日常役割機能(精神)」「心の健康」で評価します。
伴侶動物(ペット)のQOLを評価する場合には、アニマルウェルフェアの基本的な考え方である「5つの自由」が、その評価項目に当たると思います。
飢えと渇きからの自由
不快・痛みからの自由
障害・病気からの自由
恐怖や抑圧からの自由
正常な行動を表現する自由
QOLというと、「痛みや苦痛」を取り払うということが一番最初に思い浮かぶかもしれませんが、「5つの自由」で示されている通り、それだけではありません。人も動物も、QOLが高い状態というのは、精神的にも、身体的にも健全で満たされた状態ということです。
ところが、「犬の福祉知ってます」と言っている飼い主の中には、犬が下痢や嘔吐が続いていても、犬が腹痛を訴えていても、犬がどこかイライラいしていても獣医師に診てもらうことを躊躇される方がいます。犬が病院を嫌うから?時間がないから?獣医師がガウガウ犬の診察を嫌うから?
痛みや病気さえも除いていないじゃないか!なんとかならないのか!この現状!
PD-TENでは、みなさんと一緒にそんなことを考えていきたいと思っています。
10月7日(金)に第2回のカンファレンスを行いますので、日程開けておいていただけると嬉しいです!
今足元で寝ている犬たちを眺めながら、私は本当にこの子たちに心地よい環境を提供できているのかとしみじみと考えた夜に…
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